麦芽の味わいをそのまま楽しめる『虹之麦酒(にじのビール)』

「せとなか百貨店」は、三原市の地域産業が生み出した数々のスグレモノが集まっています。その種類はバラエティに富んでおり、自分へのご褒美や手土産に最適なグルメの数々、事業者の職人が丹精込めて作る機能性を重視した寝具や衣類品、家具、美容品、生き物までさまざまな商品を展開しております。

 せとなか百貨店では、三原市ならではの商品の魅力や、作り手の想いを発信していきます。ぜひ瀬戸内の楽しさ、面白さ、美味しさに出会ってください。

 第2回目にご紹介するのは、麦芽の味わいをストレートに楽しめるビール『虹之麦酒』を生産している『秦農場』。

秦農場オーナーの秦秀治さんに、麦作りを始めた経緯やビール作りのこだわりなどについて詳しくお話を伺いました。

麦芽の味わいをそのまま楽しめる『虹之麦酒(にじのビール)』

虹之麦酒(にじのビール)

もち麦は瀬戸内で昔から作付けされてきた在来種で、まさに地ビールの原料にふさわしいもの。

『虹之麦酒(にじのビール)』は、豊かな自然と清らかな水に恵まれた三原市西野で、秦農場オーナーの秦秀治さんが丹精込めて栽培した二条大麦ともち麦の2種類を使用しています。

さらにホップも自家栽培しており、瀬戸内らしいシトラス系の香りがする品種『チヌーク』を育てています。

『虹之麦酒』は、副材料を添加して味や香りを表現するビールではありません。化成肥料を使っていない豊かな麦、少量だからこそ細やかな手入れができる麦芽の味わいをストレートに楽しめるエールビールです。

●原材料名:麦芽(国内製造)、ホップ
●内容量:310ml
●アルコール分:4.5%

原料は100%自農場で栽培。]

原料は100%自農場で栽培。]

商品のラベルも自作

ビールのラベルはイラストレーターのソフトを使って、秦さんご自身がデザインしたのだとか。

「母子がスコップのようなものを持っているのは、私の妻子がモデルです。土入れ器という農具で条間の草と土をすくい、麦の株の上で振るって土をかけているところです。」

さらに、その様子を麦の種まき時期を知らせるジョウビタキが見ている様子を描いており、黄色いラインと紫のラインは、ビール麦と紫色のもち麦を表現していると秦さんが和やかに説明してくださいました。

レトロで趣のあるラベルです

レトロで趣のあるラベルです

おいしい飲み方

『虹之麦酒』は瓶内発酵ビールのため、購入後も瓶内で発酵が続く

購入後も「育てて飲む」ビールです。

そのため、グラスに注ぐまでの温度管理が大切。購入後は漬物やヨーグルトと同じく冷蔵庫で保管するのがお勧めです。

自宅に届いてすぐのタイミングが、もっとも麦の甘みを感じられます。そこから時間が経つと甘みが減り、今度はフルーティーな香りが出てきます。育てて飲み比べるのも楽しいです。

時間の経過とともに味わいが変化します

時間の経過とともに味わいが変化します

故郷の原料を使ってこそ地酒

ビールの原料は、100%自社農場で栽培しています

今人気のクラフトビールの原料は、国内の大手ビール会社から購入したものや輸入物の麦芽を利用しているのが主流です。

しかし秦さんは「故郷の原料を使ってこそ地酒といえるのではないか」と考え、秦農場では2011年からビール麦、2016年からホップの栽培に取り組みました。現在は100%同農場の原料でビールを委託醸造しています。

麦畑をとりまく生き物を大切にしたいという思いから、草木堆肥とヤギの厩肥、鶏糞を肥料にして、殺虫剤や殺菌剤は使っておりません(除草剤は使用しています)。イノシシなど大きな被害にあうこともありますが、動物との本気の攻防を楽しんでいます。

収穫したビール麦

収穫したビール麦

国産麦のおいしさに感動し、麦作りを始めた

「自分も麦を作ってみたい!」との思いから、亡き養父母より受け継いだ農地に麦を植えたのが始まりです

秦さんは20歳のころ(今から約40年前)に訪れた群馬県にて、国産麦で作られた「麦まんじゅう」を食べ、国産麦のおいしさに感動しました。

秦さんが農業系の出版社にいたこともあり、少しでも農業に関わることができたらという想いもあったそうです。

当初、農業経験がなかった秦さん。はじめは麦を植え、少しずつ面積を増やしていきました。なかなか麦のみで食べていくことが難しかったなか、20年ほど前に環境問題を考える市民グループ『環境ネットワーク三原』から『一緒に麦を作らないか』という話があり、麦作りの仲間が徐々に増えていったといいます。

ビールに香りや苦味を添えるホップも栽培しています

ビールに香りや苦味を添えるホップも栽培しています

その後麦作りの仲間から話が出てきました

小麦を使って大人が楽しむビールを作るのも良いのではないか

「ビール用の麦を植えることで一気に耕作面積が増えたほか、里山の生き物が育つことを学びました。実際、麦が育つことでカヤネズミが増え、そのカヤネズミを餌にする生き物(マムシなど)も増えました。荒れ地が豊かな里山に戻っていくことを実感しています。」

さらに埼玉県鶴ヶ島市から製粉機の視察に来た方から「麦の原料になるものを作れば、ビールに加工して売ることができる」という提案があり、ビール製造メーカー『新潟麦酒株式会社』を紹介してもらうことに。

そこから、秦さんの地ビールづくりが本格的に始まりました。

秦農場の畑。さまざまな生物と共生しています

秦農場の畑。さまざまな生物と共生しています

麦の栽培だけでなく麦芽作りまで行う

もち麦も麦芽に加工することで、品質のいいビールができることが判明しました。

当初は収穫した麦を、醸造を依頼している『新潟麦酒』に出荷するだけでしたが、2020年から収穫した麦はすべて秦農場側で麦芽に加工して出荷することになりました。

「6月に収穫した麦を11月まで寝かせます。11月まで寝かせた麦を水に浸すと、2日で芽が出ます。それが麦芽です。芽が出すぎてもいけないので、水から上げるタイミングが難しいです。

その後、麦芽を乾燥させる工程も、水分量が多いとカビが生えてしまうため細心の注意が必要です。最初は失敗ばかりで、収穫した麦を無駄にしたこともありました。」

当初は麦芽の作り方など分からず、手探りで行っていた秦さん。
友人からシイタケ乾燥機を譲り受け、さらに地ビール醸造仲間のつながりで、栃木県の『ろまんちっく村』の方から麦芽づくりを教わり、ようやく品質が安定した麦芽を作れるようになりました。

麦を麦芽に加工して出荷します

麦を麦芽に加工して出荷します

在来種の麦を使うことへの大きなこだわり

「ビール作りを続けていくうちに、『自分たちが自信が持てるようなビールを作りたい』という気持ちが強くなってきました。

現在は、瀬戸内海で作っている『はだか麦』という在来種の麦をビールの原料に検討しています。

経済性がないという理由で切り捨てられる品種が多いものの、在来種ならではの特性や魅力もたくさんあるのです」と秦さんは語ります。

通常、原料に麦を使う場合は、ビール麦という二条麦しか使わない。二条麦で作ったビールでないと、"ビール”とは呼べないという人もいるくらいなのだとか。

「副材料で小麦を入れたり違うのも混ぜたりする場合もありますが、基本は二条大麦を使って醸造するのが『ビール』といわれています。
ただ、はだか麦も、大麦と同じ枠で括れば、二条麦とほとんど変わらないんです。」

さらにはだか麦は、弥生時代から瀬戸内海で栽培された品種です。二条麦は歴史が浅く、ここ20〜30年ほどでできた作物。天候によっては、栽培が難しい可能性もあるとのこと。

その点はだか麦は、瀬戸内海で何百年も生き残ってきた昔からある品種。秦さんは安定して栽培を続けられるのでないかと期待を寄せており、在来種の保存に力を入れています。

地域の特性を活かした美味しい地ビールを作るために

もち性のはだか麦というのは、世界的な分布で見ると東アジアの瀬戸内海の地域にしか存在しないといわれています。

「もち性のはだか麦は、種蒔く時期に霜が降りるような寒い地域だと、うまく成長しません。そのため、東北や北陸の小麦文化の地域だと、はだか麦の栽培は難しいとされています。

現在は品種改良し、耐寒性のあるはだか麦もできてきていますが、まだ普及しているとはいえない状況でしょう。」

秦農場で作っているもち麦は、上蒲刈島(かまがりじま)という島で作った品種です。

「他のもち麦に比べて背が高くて倒れやすく、収量の少ない品種です。それでも、味はとても美味しい。ほかのもち麦と食べ比べしましたが、この品種が一番美味しいと感じました。」

ほかのもち麦の品種に比べ作りづらいといわれている、はだか麦。地域の特性を活かした美味しい地ビールを作るため、秦さんの挑戦は続きます。

農業を続けているのはある種の「意地」

現在、秦さんは広大な農地をお一人で管理しており、通常は20人ほどで行う溜池の管理も秦さん一人で行っている状況なのだとか。地域にたくさんいた農業仲間も、現在は秦さん一人に。それでも農業を続けていく理由は、「意地」だといいます。

「農地は、一度荒れると皆やる気をなくし、一気に耕作放棄地帯となってしまいます。可能性のある農地を良い環境で維持したいという気持ち、これが自分にとっての『意地』だと思っています。」

現在秦さんは専業農家ではなく、簡易郵便局という郵便局を経営しながら、農地管理をしています。ビールづくりも、その一環。

「麦づくりを始めたのは、もちろん美味しい麦を作りたいという気持ちからですが、根本には『耕作放棄地帯の解消』という目的がありました。

しかし、現在は仲間もいない状況で、年齢の限界も感じています。さらに、いまだに耕作放棄地は増え続けている状況です。

ただ、裏を返せば、農業できる場所やチャンスはたくさんあるということ。貴重な在来種を残すためにも、後継者が現れると良いなと思っています。」

Product作りてのおすすめ!

『虹之麦酒(にじのビール)』は、豊かな自然と清らかな水に恵まれた三原市西野で、私が丹精込めて栽培した二条大麦ともち麦の2種類を使用しています。もち麦は瀬戸内で昔から作付けされてきた在来種で、まさに地ビールの原料にふさわしいものです。

虹之麦酒 6本セット

3,300円(税込)

個数

『虹之麦酒(にじのビール)』は、豊かな自然と清らかな水に恵まれた三原市西野で、私が丹精込めて栽培した二条大麦ともち麦の2種類を使用しています。もち麦は瀬戸内で昔から作付けされてきた在来種で、まさに地ビールの原料にふさわしいものです。

セット 6本セット
産地情報 三原市
容量
(g / ml / 個数 / セット)
310ml × 6本
配送方法 冷蔵
注意事項 ラベルに表示
※20歳未満の飲酒は法律で禁止されています

Othersおなじ作りての別商品

Ranking人気ランキング

せとなか百貨店が、いちばんおすすめする商品をご案内! 今まで見たことがない商品が見つかるかも。

Letter作りてからのお便り

せとなか百貨店に出品している作りてからのさまざまなお便りがご覧いただけます。

Recommendせとなか百貨店のおすすめ

せとなか百貨店の中の人が選ぶおすすめの業者さんを紹介いたします。どの業者さんも個性的で面白いですよ。